ある年のお正月、白い小型犬が出てくる初夢を見ました。
なぜそんな夢を今でも覚えているかというと、目覚めてすぐにこう思ったからです。

「違うんだよなぁ~、私が飼いたい犬は茶色なんだけどなぁ・・・」

私は小さい頃から犬や猫が大好きで、ずっと「いつか犬を飼いたい」と思っていました。
どんな犬を飼おうか想像するのが大好き。あの子もいいし、この子もいい。
でも一貫していたのは、茶系の子。

だから、夢に出てきた白い犬に対して、
「なんで白なの?違うのに。」
と思ったのです。

とはいえ、それはその時だけ。
何かのお告げだとも思わなかったし、特別な意味があるとも考えませんでした。

ところが、それから1ヶ月ほど経ったある日。
母が突然、言いました。

「犬、飼ってもいいわよ。」

「えっ?!」
耳を疑いました。
母は、大の動物嫌い。「苦手」というレベルではありません。
動物を見ると鳥肌が立つほど嫌いで、私が子どもの頃から犬や猫を飼いたいと言っても、
「そんなの飼うんだったら、私は家を出ていく」
と公言していました。

父も動物好きだったので、父と私はずっと「飼いたい側」。
でも、母がそんなかんじだったので、仕方なく、二人とも諦めていました。

その母が、突然、
「犬、飼ってもいいわよ。」
しかも、続けてこう言ったのです。

「私が死んだら寂しくなるでしょ。死んでから飼っても遅いわよ。」

母はその頃、認知症でした。
だから私は、
「いつもの、単なる思いつきだろうな」
くらいに考えていました。

でも。
ずっとずっと犬を飼いたかった私です。
理由が何であろうと、母の口から確かに今「飼ってもいい」という言葉が出た。

言質取った!

その言葉を忘れないうちに(たぶん言ったそばから忘れてるだろうけど)
このチャンスを逃すまいと、即犬探しに取り掛かります。
ところが、いざ探し始めると、母から思いがけない注文が入りました。

「嫌よ、そんなの。白がいいわ。」

……えっ、白?!

このときの私は、もちろん知りません。
母の言った、
「死んでから飼っても遅いわよ」
という言葉が、そのあと私にとって、忘れられない言葉になることを。

そして、お正月の朝に見た「白い犬」が、もうすぐ本当に私の前に現れることも。
これが、私とAlmaの物語の始まりです。